ハイラムワイルド メーカー概要

ハイラム・ワイルド社は、1864年に英国サウスヨークシャー州シェフィールドで創業されました。その創業者の氏名（Mr.)Hiram Wild がそのまま Hiram Wild Ltd.という会社名に採用されています。

シェフィールドはサウスヨークシャー州の州都でマンチェスターの東約50kmに位置します。人口約60万人の都市ですが英国における鋼鉄工業とりわけ刃物生産の中心となっている町です。刃物の町という意味では、ドイツに於けるゾーリンゲンや、日本に於ける燕・三条あるいは関と同じ様な位置づけをすることが出来ます。

このシェフィールドで創業された同社は、1864年以来今日まで140年以上フラットウエアの実用品及び高級品を作り続け、現在ではホテルレストラン用、一般家庭用にと、その品目及び製品仕様は約15,000と多岐にわたっています。数有る英国のフラットウエア・メーカーの中で最大の生産量を誇っている会社です。

同社の製品は、英国や米国の高級レストランや、政府系機関、航空会社などで多く採用されており、ハロッズほかの一流百貨店や食器専門店で扱われています。国外向けには西欧・北米・豪州・南アフリカを中心に約40ｹ国に輸出されています。

ブランド戦略を前面に押し出したマーケッターとしてよりは、良質な製品を求めやすい価格で供給することを主眼とした製造業者としてのウエイトが高かったため、同社のブランドは、海外ではまだそれ程認知されていませんが、英国の業界においてはその品質と企業態度と相まって極めて高く評価されています。

ハイラムワイルドのブランド

Hiram Wild ハイラム・ワイルド
Mutual ミューチュアル
Francis Greaves フランシス・グリーブス
Atkinson Brothers アトキンソン・ブラザース
Francis Newton フランシス・ニュートン
Sterling Stag スターリング・スタッグ
Eben Parker イーベン・パーカー
Royal Silver ロイヤルシルバー

同じジャンルの商品に多くのブランドを持っているように思われますが、これは、ハイラム・ワイルドは何社もの地場メーカーを吸収しつつ成長してきましたが、それら吸収相手のブランドを現在まで継続使用してきたためです。

ハイラムワイルド創業のエピソード

1864年のイギリスの春、サウスヨークシャー州は長期的な大雨に見舞われ、洪水が多発していました。

シェフィールドの村でも、村の貯水池が急激に増加する水位を支えきれず決壊してしまいました。 この時運悪く付近に遊びに来ていたある子供がその濁流に呑みこまれ、流されてしまいました。救助を求められた村人たちはあまりの水の勢いに手をこまねくしか出来ない状況でした。

そこへ通りかかったある青年が、自分の身の危険を顧みることなく、暴れる濁流に飛び込み、流されつつも、かろうじてその子供を救い出しました。その青年の名前は、ハイラム・ワイルド、 刃物の村シェフィールドに仕事を求めて出て来ていた刃物研ぎ師でした。

一方の、命を救われた子供は、たまたま地方の領主の息子でした。自分の息子が助かったことに感謝した領主はハイラム・ワイルドに礼として200ギニー(4200シリング)を与え、ハイラム・ワイルドがやりたい事業の資金として役立てるよう奨めたのでした。

ハイラム・ワイルドは才能と熱意のある青年でした。シェフィールドのハーラムに事業の拠点を定め、最初に刃物の製造を始めました。これが軌道に乗ると、やがて当時流行りだしたナイフやフォークやスプーンなどのフラットウエアの分野へと展開、堅実に事業を発展させたそうです。

現在の経営者は、創業者の四代目ジョン・ワイルドの世代になっていますが、ハイラム・ワイルド社は地道な経営努力の結果着実な発展を遂げ、今ではイギリスで最大規模のフラットウエアのメーカーになっています。

ハイラム・ワイルド社製品のユーザー

ご参考までにハイラム・ワイルド製品がどのような所で指定調達品になっているか以下にいくつかリストアップしました。

★ 英国政府公官邸
政府の指定調達品として、迎賓館、政府系ゲストハウス、ダイニングルーム等で使われています。また、世界の在外英国大使館・公使館・領事館でもハイラム・ワイルドのフラットウエアは指定調達品となっています。各大使や領事の住居でも同様です。

★ 英国航空
国際線での指定です。普通の旅客機はもとより，ロンドン・ニューヨーク間のコンコルドでも使われています。

★ ブリティッシュ・ミッドランド航空
ファーストクラスを初めとして全て。

★ インド政府及び各国のインド大使館、領事館
ハイラム・ワイルドへ直接注文が出され直接納品しています。

★ デベアホテル（チェーン）
英国の老舗醸造会社経営の名門ホテル・チェーンです。

★ マウント・シャーロッテ・ホテル（チェーン）
英国のホテル・チェーンでは第２位です。高級ホテルからビジネスホテルまでグレードは広範囲に亘っています。

★ シェラトン・ホテル（チェーン）
アメリカ及び世界各国。ハイラム・ワイルド製品を集中購買しています。

★レインボー・ルーム・レストラン
（ニューヨーク、ワールド・トレード・センター内）

★ハイド・パーク・ホテル（ロンドン）
★ グロスナー・ハウス（ロンドン）
★ ブラウンズ・ホテル（ロンドン）
★ ホテル・ジョルジュ・サンク（パリ）
★ ホテル・プラザ・アテネ（パリ）
★ ホテル・リッツ（マドリッド）
★ ホテル・デ・ベルゲ（ジュネーブ）
上記 7ホテルはトラストハウス・フォルテ・グループの代表的なホテルです。トラストハウス・フォルテは世界最大のホテル・ケータリング・グループで、英国では200軒(ロンドンだけでもホテル17軒)、世界全体では40ケ国に800軒のホテルを運営している企業体です。このグループではハイラム・ワイルドのフラットウエアを集中仕入しており、グループの中の全てのレストランで使われています。

洋白製品の手入れ

ハイラム・ワイルド製品には保証書が付きますが、これには次の内容の「シルバーウエアのお手入れ方法」が記載されています。

『 銀は湿気と食品に含まれる硫黄分や大気中の硫化水素と化合し黒色化する性質があります。やわらかな光ぐあいや品格と暖かみ、銀製品特有の良さをいつまでも保っていただくためには次のようなご注意が必要です。

（１）使用後は出来るだけ早く、中性洗剤を使いぬるま湯で洗い、特に卵黄やレモンは銀を黒くしてしまうので良く落とします。クレンザーや金属タワシはシルバーウエアの表面を傷つける恐れがあるので、ご使用にならないでください。すすぎはぬるま湯で、仕上げには熱湯をかけると、水切りが良くなります。温かいうちに乾燥した柔らかなふきんで水気を完全にとり、乾燥させます。日常お使いの場合は、以上のお手入れで黒色化は殆ど防げます。

（２）保管には、開け閉めが頻繁でない引出しに入れるなどして、なるべく空気と触れないようにします。 長期の保管の場合はビニールの袋等に入れ、中の空気を抜きます。またフラットウエアロール等の腐蝕防止用の袋に入れて収納しておくのも効果的です。 手指の脂肪分も錆や黒色化の原因になるので直接さわらないように気をつけます。保管場所にはレンジの近く等空気の汚れる所は避けます。

（３）定期的に銀製品専用の磨き剤（シルバーポリッシュ）でお手入れなさることを奨めます。黒ずんでしまったシルバーウエアでも元どおりの光沢を取り戻すことが出来ます。シルバーポリッシュには腐蝕防止の皮膜を作るものもありますので専門店にご相談なさると良いでしょう。 』

製品保証書に記載された「シルバーウエアのお手入れ方法」は以上ですが、他には、

• シリカゲル等の乾燥剤を製品と一緒に袋に入れておくと変色防止に効果があります。

• 毎日製品を使うと、普通に置いておく場合に比べて変色の進み具合が遅くなります。高級品だからと惜しまず毎日使うようになさってください。

• シルバーポリッシュで製品を磨く場合に使う布は柔らかな木綿の生地が良いですが、特にネルが一番良いと思います。ネルは生地が柔らかいため、普通だとついてしまう磨き傷も付きません。

• シルバーポリッシュはどれもよくのびるので、ほんの少量付ければ十分です。小さなネルの端切れに取り薄くのばします。黒ずんだところはシルバーポリッシュを付けて強くこすってもネルだと傷になりません。数秒おいてから別のきれいなネルで拭き取ります。その後よく乾拭きすると、曇ったりしません。

• IMPORTANT!  まちがっても輪ゴムで束ねては行けません、ゴムから出るガスで銀製品には黒い輪が出来てしまいます。ビニール袋の上から輪ゴムを掛けた場合も同じです。このばあいは市販のシルバーポリッシュで簡単に取れます。

• 当社で扱っているタウントークのシルバーポリッシュは腐蝕防止効果があります。

• NEW!  銀器の細かな模様の中に入ってしまった汚れは、普通にスポンジで洗ってもうまくとれませんが、熱いお湯に中性洗剤を入れた器に、銀器を数分間浸し、絵筆などで軽くこすると簡単に取れます。お湯は出来るだけ熱い方がよいです。高い銀器ほど複雑なパターンが彫り込まれているのが普通ですが、この方法で細かな部分まで綺麗になることがよくあります。また銀磨きの拭き残しも黒くなって腐蝕したように見えますがこの方法で良く取れます。

製品品質と保証

ハイラムワイルド洋白製品は、洋白素材（ニッケルシルバー）に純銀20ミクロンの厚いメッキを施したものです。素材は銅 ・ 亜鉛 ・ ニッケルの合金ですが、製造上では純銀同様の細工のしやすさ、純銀以上の強度、銀との親和性が良くステンレスなどとは違ってメッキが剥がれにくいことなどで好んで使われています。この合金自身の持つ温度や硬度・感触も純銀に極めて近く、このカトラリーどうしがふれあったときの音も純銀に近い音がします。製造に当たってはハイラムワイルドの厳格な製品仕様に基づいて作られています。

ハイラムワイルドの製品はすべて英国シェフィールドの同社工場で製造されています。

ハイラムワイルドの製品には洋白素材に純銀メッキを施したことを表す Electro-Plated Nichek Silverの略 "E.P.N.S."と英国工業規格で最高のメッキ品質を表す "A1" の刻印が打たれています。

当社はハイラムワイルドの製品について、

• 素材は適正に配合された洋白(ニッケルシルバー)であること。

• 仕上げはハイラムワイルドの厳格な製造仕様に基づいて製造されたものであること。

• 製品全体にわたり平均で純銀20ミクロンのメッキが施されていること

について30年間保証します。この間、製品の欠陥で破損もしくはメッキが剥がれてしまった場合、修理または交換いたします。 飲食業の業務用に使われた場合はこの限りではありません。 詳細は製品に付いてくる保証書をご覧ください。